Linux道場Linux学習環境構築編
第16回ノートPCとデスクトップPCについて
セミナーなどの際に質問の多い、Linuxの学習環境構築について、いくつかのテーマについて解説していきます。今回はノートPCとデスクトップPCについて解説します。
これもよく聞かれる質問ですが、学習環境にはノートPCがいいのか、デスクトップPCがいいのか。これはそれぞれ一長一短があり、絶対にどちらがいい、という問題ではありませんので、それぞれのメリット、デメリットを挙げてみようと思います。
ノートPCのメリット
- 置く場所を選ばない
- 持ち運べる
- 使わない時はしまっておける
- バッテリーで駆動できる
ノートPCのデメリット
- ハードウェアの交換や増設などが行いにくい
- CPU性能が低い
- メモリやハードディスクなどの容量が少ない
デスクトップPCのメリット
- ハードウェアの交換や増設などが行いやすい
- CPUが高性能
- メモリやハードディスクが大容量
デスクトップPCのデメリット
- 設置するとほぼ常時設置
このように比べてみると、学習環境においては高性能、大容量は要求されることが少ないので、学習者がどのような環境で学習するのか、設置場所がどの程度確保できるのかが選択のポイントになりそうです。その点でノートPCが有利そうです。
ただし、学習が進んで色々な検証を行いたくなると、メモリ容量がネックになる可能性は高いでしょうし、交換、増設のしやすがはデスクトップPCの方が格段に上です。
筆者個人の見解では、学習環境として快適なのはノートPCですが、ネットワーク接続の部分で苦労しそうです。特に無線LAN接続については、比較的新しいディストリビューションではNetworkManagerという仕組みが利用できて接続しやすいのですが、サーバーとして使用する場合にNetworkManagerを使用しないことが多いので、可能であれば内蔵か、外付けUSBネットワークアダプターを使って有線接続が行えると快適でしょう。このあたりについて初学者が悩むことも多いので、ノートPCの場合にはメモリ容量が4GB以上など余裕がある場合には、Windowsを動作させて仮想マシンとしてLinuxを動かす方が悩まないで済むことが多いように思います。
いずれにしろ、決定的な一台、というものはありませんので、廉価なPCや中古PCなどで色々と試してみる、ぐらいのつもりでいた方が間違いはないでしょう。
コラム執筆/宮原 徹
中央大学法学部法律学科卒。
日本オラクル株式会社でのLinux版Oracleのマーケティングに従事後、2001年株式会社びぎねっとを設立。Linuxをはじめとするオープンソースの普及活動を積極的に行い、IPA「2008年度 OSS貢献者賞」を受賞。
LinuC関係の活動では、『Linux標準教科書』『Linuxサーバー構築標準教科書』の監修、執筆や、LPI-Japan発行のメールマガジンにも例題解説などを寄稿している。