Linux道場Linux学習環境構築編
第14回ハードディスクについて
セミナーなどの際に質問の多い、Linuxの学習環境構築について、いくつかのテーマについて解説していきます。今回はハードディスクについて解説します。
学習環境として利用するマシンは、多分ハードディスクが内蔵されていることかと思います。最近では容量も大きくなってきたので、Linuxをインストールするには十分過ぎるほどの容量があるかと思いますが、問題となるのは速度でしょう。
もし、マシンに対して直接Linuxがインストールできるのであれば、速度は普通にWindowsなどを使っているのと同じ程度ですし、学習時にそれほど性能が要求されるわけではないので、大きな問題にはならないでしょう。一方で、仮想マシンを動かすような場合、ハードディスクの性能は仮想マシンからだと大体半分ぐらいの性能になってしまうので、ノートパソコンなどでは相当遅いなあと感じるかもしれません。それでも、コマンド操作を学習したい、というぐらいの目的であれば、特に気になることはないでしょう。
しかし、本番環境を構築することを考えると、学習段階でハードディスクをどのようにして高速化するのかを、実地で学習しておくのが重要なことでしょう。方法はいくつかありますが、学習としてやっておいて欲しいのは以下の2つです。
1つは、ハードディスクの台数を増やして、RAIDを構成することです。データ保護の観点からはRAID 1(ミラーリング)ですが、性能を向上させるにはRAID 0(ストライピング)が有効です。また、データ保護と性能を両立させるためのRAID 1+0(ミラーリングしたハードディスク間でストライピングする)や、容量とのバランスが取れるRAID 5などを行うには、ハードディスクが3台以上(RAID 1+0では4台以上)必要となります。
もう1つが、SSDに交換することです。SSDの特長は、細かい小さなデータを大量にランダムアクセスするような、たとえばメールの読み書きのような処理を高速に行うことができます。普通のパソコンでも、メールクライアントの操作などが快適になります。SSDで高速化することで、仮想マシンの動作などがグッと快適になります。SSDもかなり大容量、低価格になってきているので、試しに交換してみるとよいでしょう。
学習のコツは、うまく実用と学習の目的を合致させて、学習環境に対する投資をメリットとしても回収することにあります。そういう意味では、メモリやSSDなどの増設、交換は両方のメリットが享受できる方法なので、積極的に実行してみて下さい。
コラム執筆/宮原 徹
中央大学法学部法律学科卒。
日本オラクル株式会社でのLinux版Oracleのマーケティングに従事後、2001年株式会社びぎねっとを設立。Linuxをはじめとするオープンソースの普及活動を積極的に行い、IPA「2008年度 OSS貢献者賞」を受賞。
LinuC関係の活動では、『Linux標準教科書』『Linuxサーバー構築標準教科書』の監修、執筆や、LPI-Japan発行のメールマガジンにも例題解説などを寄稿している。