HOMELinux道場Linux道場ネットワーク編第1回 ネットワークについて

Linux道場ネットワーク編

第1回ネットワークについて

はじめに

現在コンピュータを取り扱う上で、必ずと言っていいほどネットワークという言葉が出てきます。
連載初回は、このネットワークの意味や成り立ち、種類について取り上げてみたいと思います。

(コンピュータ)ネットワークとは?

普段当たり前のようにネットワークという言葉を使用していますが、そもそも「ネットワーク( network )」とはどのような意味なのでしょうか?コンピュータの世界に当てはめて調べてみると、「複数のコンピュータを結び、データなどを共有し、情報処理を図るシステム」(YAHOO! Japan辞書(大辞泉))「通信回線を利用して複数のコンピュータを接続したシステム。コンピュータ資源の共同利用,データ処理の機能分散が実現される。」(goo辞書(新語・新語辞書)・InfoSeek楽天マルチ辞書(国語))とあります。(言葉の意味として「綱」、「網の目のような組織」、「放送網」(福武国語辞典参照))一言で表現するならば(コンピュータ)ネットワークとは(複数の)コンピュータ同士を結ぶ(接続する)ことといえます。

(コンピュータ)ネットワークの成り立ち

コンピュータが開発、使用され始めた頃は、単独で使用されていました。
(ネットワークに接続せず、単独で使用することをスタンドアロンと呼びます。)
単独で使用されていたコンピュータを別のコンピュータと結んで使用したい理由とは何だったのでしょうか。

最大の理由として、コンピュータ同士の資源の共有化を行ないたかったからだといえます。
コンピュータをスタンドアロンで使用していた頃、各コンピュータ間のデータの移行は記憶媒体(フロッピーディスクや磁気テープ)を介して物理的に行なう必要がありました。(これは非常に手間と時間が掛かる作業だったようです。)
しかし、コンピュータ同士を繋げること(ネットワークの誕生)により、個々のコンピュータにあるデータを他のコンピュータとの間で共有、送受信することが可能になりました。

この資源の共有化はデータだけでなく、一台のプリンタを複数のコンピュータで共有して使用するといったことも可能にしました。(ネットワークが誕生する前はプリンタを使用する場合、一台のコンピュータに対して一台のプリンタを必要としていました。)このコンピュータ同士の資源の共有化によって単独で使用していた頃より遥かに利便性が向上したのです。
(図1参照)

図1.ネットワーク誕生前と誕生後図1.ネットワーク誕生前と誕生後

様々なネットワークのルール(プロトコル)について

コンピュータ同士で通信を行うには、一定のルール(プロトコル)が必要になります。現在コンピュータ同士の通信はTCP / IPというルールに統一されて標準化されていますが、ネットワークが誕生した頃は通信を行うためのルールは統一されていませんでした。そのため、メーカーごとに独自のネットワーク技術の開発が行われ、ネットワークを行うためのルール(プロトコル)として、NetBEUI(IBM社が開発、OS2や Microsoft社のMS-DOSとWindowsに実装)やAppleTalk (Apple社で開発、Macintosh OSに実装)などが開発されました。

Unix OSではというと、このとき既に現在の標準であるTCP / IPを実装していました。
Unix(Linux)がネットワークに強いと言われる理由として、軍用に開発・研究されていたTCP / IPをいち早く取り込んだ所にあるともいえます。※(TCP/IP・ARPAnetについては次回取り上げます。)(最初に実装が行われたUnix OSはUCB(カルフォニア大学バークレー校)のコンピュータ・サイエンス学科で作成されたバークレー版Unix(BSD)です。(BSDとは Berkeley Software Distributionの略)このバークレー校はCシェル(C shell)、vi(テキストエディタ)などを開発しています。)このネットワークのルールがメーカーごとに異なっていた為、異なるメーカーのコンピュータ間では通信が行えないといった問題も発生しました。後に互いのルールも扱えるように統一化したことで、異なるメーカー同士でも通信を行うことができるようになりました。

ネットワークの形態について

また、ネットワークは、形態によって分類することができます。
運用方法で形態を分類した場合、クライアント・サーバー方式とピア・ツー・ピア方式に分けることができます。
クライアント・サーバー方式ネットワークとは、一つのドメイン(コンピュータのグループ)にサービスを提供するサーバー(情報資源の集中管理)とサービスを受けるクライアント(資源を利用する)に別れて運用を行う形態です。(図2参照)

ユーザーアカウントや資源へのアクセスなどの管理を一括して行うことができるのでセキュリティーに優れているといえます。但し、サーバーには負荷が集中するので高い処理能力が求められます(サーバーにデータベース処理を行わせるような場合、アクセスが集中すると処理効率の低下を招く場合があります。
処理効率の低下と負荷を軽減するため、サーバーとクライアントの間に、途中の処理を受け持つ中間的な(アプリケーション)サーバーを設けて運用する方法があります。このアプリケーションサーバーを介して運用を行う構成を3層構造のクライアント・サーバー方式といいます。)

図2.クライアント・サーバー方式図2.クライアント・サーバー方式

ピア・ツー・ピア方式ネットワークとは、固定のサーバーを持たず、接続されたコンピュータが対等な役割を持つネットワークです。(図3.参照)
固定のサーバーを持たないので、どのコンピュータもサーバーとクライアントになりえます。(peerとは同輩、同等の立場という意味があります。)手軽にコンピュータネットワークの構築が行なえることが利点ですが、個々のコンピュータごとにユーザーアカウントや資源へのアクセスなどの管理を行うのでクライアント・サーバー型と比較するとセキュリティーには優れていません。

図3.ピア・ツー・ピア方式図3.ピア・ツー・ピア方式

物理的な接続形態で分類した場合、バス型とスター型に分けることが出来ます。
この物理的な接続形態をトポロジーといいます。
バス型トポロジーは1本の基幹線があり、それに支線を接続していく形態です。この基幹線の両端には終端抵抗(ターミネータ)という装置を取り付け、基幹線の間にトランシーバーという装置を取り付けます。
このトランシーバーとコンピュータを接続します。これにより各コンピュータが一本の線で結ばれます。(図4.参照)

図4.バス型トポロジー図4.バス型トポロジー

スター型トポロジーは集積装置(HUB)を介してコンピュータを放射上に接続する接続形態です。(図5.参照)
(ハブという言葉には何かが集まってくるという意味があります。)

図5.スター型トポロジー図5.スター型トポロジー

LANとWANについて

ネットワークはその範囲によってLANとWANに分類することができます。
LANとはLocal Area Networkの略で、企業・学校内、自宅といった閉じられた環境の中でのネットワークをいい、WANとはWide Area Networkの略で、(遠隔地にある)複数のLAN同士を繋げたネットワークをいいます。
LANとLANをつなげるには「ROUTER」(異なるネットワークを相互接続する)という機器が必要になります。(図6参照)

図6.LANとWAN図6.LANとWAN

Internetについて

Internetとは「TCP/IP」というルールを用いて、全世界にあるネットワークを相互に接続したネットワークのネットワークをいいます。これは極めて広大なWANであるといえます。このインターネット上から提供されるサービスとしてWWW(World Wide Web:Webページの公開)や電子メールがあります。
尚、このTCP / IPで構築された(同一企業・グループの)LANをイントラネット、(異なる)組織間でイントラネットを連携させる形態をエクストラネットといいます。

おわりに

今回はネットワークの意味や成り立ち、種類について取り上げてみました。コンピュータ同士の通信にはルールが必要とありますが、次回はこのルール=「プロトコル」について取り上げます。

マイクロテクノロジー株式会社

コラム執筆/森谷 仁
マイクロテクノロジー株式会社 管理本部 情報システム室

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